レイモン・サヴィニャック、クリエイティビティー | さつま揚げの一夜干し

レイモン・サヴィニャック、クリエイティビティー

レイモン・サヴィニャックとは、1950以降活躍したポスター画家です。

彼のポスターを生で観てみたくて、遠路はるばる天保山のサントリーミュージアムまで行きました。

(奈良の自宅からだと、片道1時間ほどかかります)


(参考・レイモン・サヴィニャック)

http://www.guyantique.com/savignac.html


実際に作品を観るまでは、何だかんだで「たかがポスター」といった認識で構えていたのですが、

それは大きな間違いでした。

確かにポスターではあるけれども、そのクオリティは相当なもの。

軽々と描いているように見えるが、これはデッサン力があってこそできる仕事です。

(現に、リアルなイラストを描いたポスターも何点か見られたことから、

彼のデッサン力が人並以上にあった事はうかがえます)

また、チラシ制作などで文字組み(文字を並べること)にはしばしば携わっているせいか、

レタリングの巧みさには魅入ってしまった。

ビジュアル面も、写真を用いたような広告にはない、「商品の魅力」がはっきりと伝わるものでした。


ところで昔の人は、今の人よりもずっと器用だったといいます。

デザイナーにしても、昔の人は1ミリの隙間に線を10本引くことができたそうです。

今のパソコン全盛の時代、そんな能力は必要ないのかもしれませんが、

サヴィニャックの緻密さを見るにつけ、

私たちは本当に進歩しているのかな、と思います。

誰が論じ始めたのかは覚えていないけど、

確かに人間は、便利なものに流され、その分不器用になっている気がします。

賢くなっているのはほんの一部の人間だけで、

ほんの一部の人間が提供するものに甘んじる私たちは、どんどん退化していってるのでしょう。

本当に、確かにそうだ。

そして、それは本当に残念なことだと思う。

創造性のない人間なんて、人間らしくないから。


このまま退化し続けていけば、人間のクリエイティビティーなんてものは、

終いにはなくなってしまうのではないでしょうか?

何もかもがボタン1つでできるようになってしまって、

全てが受け身になってしまって、

思考することを忘れてしまうのではないでしょうか?


私は人間らしくありたい。

だから私は自分のクリエイティビティーを大事にしたいと思っています。

そして、既になくなってしまって、どうにも手に入らない能力は仕方ないにしても、

今持っている限りのクリエイティビティーは決して失わないように、

毎日能動的に生きていけたらと思っています。

そのために、油絵を描いたり、ご飯を自分で作ってみたりするんだ。

いわば、リハビリみたいなものです。