丸明オールドな世の中 | さつま揚げの一夜干し

丸明オールドな世の中

最近、広告などでよく見るフォントがあります。

丸みを帯びた、独特の優しさと温かさのあるフォント。

 丸明オールド というフォントです。

本当にいろんなところで見ます。


ここ数日あたりで言えば、

キューピーの新聞広告や、

シャープの電子レンジ「ヘルシオ」のCM、

他にも、有名・無名どころで頻繁に使われています。

(電通クリエーティブ塾のページにも使われています(7月1日現在)。

新聞の広告などを見れば必ずと言っていいほど、どこかで使われています。


丸明オールドの特徴は、「止め・はね・はらい」の全ての要素が、「○」で構成されているという点です。

また、ひらがな、カタカナは昔用いられていた活字をベースに作られているそうです。

(それが「オールド」と言われる所以とか)


このフォントは私も好きでして、ぜひ手にしたいところだと思っております(3万ちょいするらしい。。。)。

丸明オールドで書かれたコピーなどはゆったりと、和んで読むことができます。

他の明朝体やゴシック体では、なかなか同じような効果を得ることはできません。


最近目立っている丸明オールドですが、

特に新しいフォントというわけでもありません(2001年に発表されました)。

にも関わらず、最近「丸明オールド」を見かける頻度が多くなってきたのは、

何かしら世間が癒しを求めているからなのでしょうか?


ところで、最近の雑誌や新聞は、昔に比べて文字と文字の間隔が広くなってきているそうです。

これも現代のストレス社会(言い古された表現だな)を反映したものなのかもしれません。


丸明オールドは、スローなものを求める近頃の風潮にマッチしたのでしょう。


逆を言えば、今の社会はスローではないのだと思います。

毎日のように人殺しは起きるし、

自然災害も頻発しています。

大きな事故が起きたり、

国際関係もギスギスしている。

いろんな事件がメディアを通じて、毎日毎日伝えられる。

丸明オールドは、こんな状況からの脱却を訴えているような気がしてなりません。


おそらく、風太クンがもてはやされたのも、

息苦しいメディアに対するカウンターアタックだったのだと思うのです。

メディアが癒しを強調すればするほど、今の世の中の「癒されなさ」が実感されて、

どうにもこうにも、やるせない思いになってくるのです。



参考文献・『デザインノート No.2』 誠文堂新光社